2022年9月25日日曜日

クルコフ『大統領の最後の恋』

 

 ロシア語で書くウクライナ作家、アンドレイ・クルコフは1996年に出版された『ペンギンの憂鬱』で世界的に知られる。日本でも新潮クレスト・ブックスの1冊として2004年9月に翻訳出版され、今年4月で16刷と好調な売れ行きを続けている。ところが、同じ新潮クレスト・ブックスで翻訳出版された『大統領の最後の恋』はなぜか現在絶版状態で、Amazonマーケっプレスで中古本が1万円以上の価格で販売されている。 

 新潮クレスト・ブックスの『大統領の最後の恋』は2004年9月に発刊された。帯には「ウクライナ大統領まで昇り詰めた男の愛の遍歴」と記載されており、コメディアンから大統領になったウォロディミル・ゼレンススキーを連想させる。新刊書は品切れが続いてどこにもないが、Amazonマーケットプレイスでは中古本が販売されている。しかし、最も安いのが12000円(9月25日現在)で、最も高いのは26733円。

 復刊ドットコムには「私の住む街では図書館にも置いていないので是非復刊していただきたい」という投稿が載っているが、まだ投票数が少ないので新潮社も復刊を決意できないかもしれない。しかし、ウクライナ本がロシアの軍事侵攻によって今年春以降相次いで重版され、新刊本も多数販売されている。そういう中では、ウクライナ文学にもこれから注目が集まっていくとみられる。新潮文庫での復刊を望む声もある。

 著者のアンドレイ・クルコフはレニングラード(現サンクトペテルブルク)生まれで、3歳の時に一家でキーフに移住して現在まで同地で暮らしているという。ロシア語で作家活動をしているため、ペンギンの憂鬱の帯には「新ロシア文学」の文字が記されているが、自分では「ロシア語で書くウクライナの作家」と評している。ただし、ウクライナの民族主義が高揚すると共に、非ウクライナ語作家の立場は厳しくなりつつあるようだ。





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